フリーライダーとは、必要なコストを負担しないにもかかわらず、利益だけを受ける「ただ乗り」のことを指します。特に悪い意味ではなく経済用語として用いられています。
不動産投資の場面では、物件の維持管理面でこれに似た現象が見られます。投資用の物件では、所有者は基本的にその場所に住まないため、維持管理は居住者と所有者から委託を受けた管理会社の手に委ねられることになります。
管理会社へは管理に対する委託料を支払っていますので、それはさておき、重要視したいのは、居住者の意識です。居住者がすべて賃借人である場合、その物件の価値を維持保全していこうと意識は働きません。所有者でないため当然と言えば当然でしょう。
例えば物件の老朽化の要因として給排水管の劣化があげられますが、配管の高圧洗浄が定期的に行われているかは重要です。これが賃借人しか住んでいない物件ですと、居住者は不在がちであったり、非協力的な傾向があります。
共用部のゴミ放置ひとつとっても、割れ窓理論のように物件の価値を落としていきます。こうなると賃貸の再募集の面でもよくありません。
これと対照的なのが、ファミリータイプの分譲マンションです。居住者の大多数が所有者であるため、当然ながら、自らの財産を大事にしようという意識がはたらきます。この意識は日常の営繕のみならず、長期にわたる修繕計画の策定や、管理ルールの徹底など、細部にまで行きとどきます。
このような物件に投資していれば、自らはそこにいなくても、居住者による適切な維持管理に「ただ乗り」できることになるのです。